コールサックシリーズ

アンソロジー

アンソロジー詩集
『原爆詩一八一人集 英語版』

「広島・長崎を最初で最後にしなくてはならない。そんな思いが『一八一人集』にこもる。年内には英語版も出るという。被爆国の詩人の深い言葉が、世界に響けばいい。」朝日新聞(天声人語)2007年8月7日

A5サイズ 304頁 ソフトカバー
定価:2,200円(税込)

原爆詩一八一人集 英語版

発売:2007年12月22日




【目次】

■編者:長津功三良・鈴木比佐雄・山本十四尾
■まえがき:御庄 博実
■解説:石川 逸子・長谷川 龍生・鈴木 比佐雄
■帯文:湯川 秀樹
■翻訳:郡山直・水崎野里子・結城文・大山真善美

序文  「核」と人間との対峙を 御庄博実……12
1945~59年

峠 三吉 『原爆詩集』の序……16
      仮帯所にて……16
      微 笑……17
栗原貞子 生ましめん哉 ―原子爆弾秘話― ……18
原 民喜 原爆小景……19
大原三八雄 茶わん……23
福田須磨子 忌まわしき思い出の日に……24
         原爆のうた……25
大平数子 慟 哭……26
小倉豊文 紙の墓 ―亡き妻に― ……26
湯川秀樹 原子と人間……28
御庄博実 原子の歌 「盲目の秋」より ……30
嵯峨信之 ヒロシマ神話……34
白鳥省吾 ボロボロの神……35
永瀬清子 滅亡軌道……36
        廃墟はまだ冷えていない……37
長谷川龍生 追う者……38
浜田知章 太陽を射たもの……40
木島 始 起 点 ―一九四五年― ……40
木下夕爾 火の記憶――広島原爆忌に際し―― ……45
        長い不在……45
深川宗俊 冴えた眼から……46
堀ひろじ 小止みなく雨が……47
真壁 仁 みどり幼く……48
米田栄作 川よ とわに美しく……50
       八月六日の砂……51
長津功三良 広島にて 二篇……52
小野十三郎 原爆十周年に……53
大木惇夫 ヒロシマの歌……54
井上究一郎 樹木のない街はさびしい
         ――広島(一九四七―四九)……56
イリヤー・エレンブールク 長崎の雨……57
ナーズム・ヒクメット 死んだ女の子……58

  1960~69年

犬塚昭夫 冬――胎内被爆者の手記……60
大原三八雄 破 誡……61
岡 隆夫 太田川……62
さかもと ひさし 冬の眼球……64
田中喜四郎 憤 怒……66
風山瑕生 ヒロシマはわがもの……68
深川宗俊 小さな骨……69
堀ひろじ 凍てつく大地に……70
 
  1970~79年

諫川正臣 コスモスの花……72
伊藤勝行 水 牢 ――久しぶりに写真の整理をした ……73
石川逸子 ヒロシマ連祷 41……74
        ヒロシマ連祷 42……75
上滝望観 ハイビスカス物語……76
金丸桝一 一枚の服……77
北畠 隆 僕は広島の旅人だけど……78
栗原貞子 ヒロシマというとき……79
四国五郎 かたまり……80
ジャック・ゴーシュロン ヒロシマの星のもとに……81
津田定雄 ヒロシマにかける虹……85
山田かん ロスアラモス……86
        地点通過……87

  1980~89年

葵生川 玲 傘のある私信……90
有馬 敲 ヒロシマの鳩……91
伊藤眞理子 たずねびと ―昭和の聞き書― ……92
         名 簿……93
伊藤瑞子 八月の空に……94
入江昭三 かんざし……95
石村柳三 春の風 〈昭和四八年初春・広島市平和公園を訪れて〉……96
金丸桝一 みんなもういちど新しいのだ……98
桜井さざえ 閃 光……99
近野十志夫 園井恵子の広島 
         ――あるタカラジェンヌの死まで……100
趙 南哲 座布団……104
       炭……105
新川和江 ヒロシマの水……106
中 正敏 空の鍵……107
       石……107
鳴海英吉 被 爆……108
西岡光秋 その朝……110
        苦い記憶……110
吉田美和子 小さな風……111

  1990~99年

うおずみ千尋 八月 しぐれ ―被爆五○周年に―……114
大井康暢 ビキニ……115
埋田昇二 ヒロシマ
     ―造形 ライトボックス 片瀬和夫「夜に寄せて」……116
高 炯烈 『長詩 リトルボーイ』終 焉……118
      草の葉……119
崔 龍源 はじらい……120
柴田三吉 さかさの木 ―ヒロシマにて……122
        ヒロシマのピアノ……123
下村和子 「こわれもの 注意」……124
       微 香……125
鈴木比佐雄 海を流れる灯籠……126
辻元よしふみ 戦争ってヤツ……127
          みだらな銃口……127
津田てるお コーヒーはブラック……128
豊岡史朗 20世紀……129
中間末雄 五十年目の八月六日……130
芳賀章内 垂らしている……132
浜田知章 弄御子……134
平原比呂子 ボタン……137
福田万里子 危険物埋蔵地……138
松尾静明 さ あ ―アメリカが臨界前核実験をした日に―……139
みもと けいこ フロッタージュ……140
御庄博実 変貌する河辺で僕は……142
柳生じゅん子 形 見……143
よしかわ つねこ ヒロシマ発・他人の街
―死んだ少女の声―(戦争を起こす世界中の政治家たちに)……144

  2000~07年

秋村 宏 海 へ……146
秋山泰則 原爆の痕……147
        戦 死……147
朝倉宏哉 祈 り……148
安藤元雄 夏の花々……149
李 美子 蓮の花……150
飯嶋武太郎 二つの出版記念会……151
池山吉彬 ヨード液色の夜……152
石下典子 六十三年後の夜……153
伊藤眞司 少女二体の人形に ―広島平和資料館にて―……154
伊藤眞理子 秋 望……155
伊藤芳博 世界の終わりに(映画「ヒバクシャ」より)……156
井野口慧子 水蜜桃……157
上田由美子 ガラスのかけら……158
         夾竹桃……159
岩崎和子 母の戦争……160
有働 薫 六歳の夏 広島駅を通った……161
江口 節 朝 顔……162
大掛史子 最初のみどりはスギナだった……163
大崎二郎 笑い 三つ……164
大塚欽一 慰霊祭が終った後で……166
大原勝人 火の中の誓い……167
大山真善美 probablymight(多分 かもしれない) ……168
沖長ルミ子 振り向くと……169
奥 重機 暴虐のあと……170
尾内達也 August……171
片岡 伸 黒い雨……172
加藤 礁 ムルロアの白い波……173
金子以左生 解れぬ……174
川村慶子 恐竜夫妻の小さな近況報告……176
河村信子 ……178
北畑光男 木の魚 丸木美術館にて……179
金 水善 黒い爪(八月六日以後 廣島はヒロシマになった)……180
北村 均 ぶらんこ……182
木村淳子 彼女は黙っていた ―被爆のマリア像によせて……183
草野信子 爪の先まで……184
原りょう 出口はどこだ……185
くにさだ きみ アカイ背をもつ被爆の記録 
           ―広島・長崎・原子爆弾の記録から―……186
くりはら すなを 臨 界……190
           ばくはつはもう終った……190
倉岡俊子 痛 恨……192
黒羽英二 終りの始まり……193
甲田四郎 ゴジラ……194
河野俊一 キャッチボール――非核のねがい……195
腰原哲朗 ミリユウ 花は花でも……196
小島禄琅 ぬくもりと共に哀しさを描くもの……197
酒井 力 白い記憶……198
近藤明理 世界の共通語……200
坂上 清 八月は消滅した
       〈犯罪者は裁かれなくてはならない〉……201
相良蒼生夫 野の草の花・核……202
佐川亜紀 ヒロシマの眼……203
佐相憲一 長 崎……204
真田かずこ 空……205
重光はるみ 見 る……206
島田陽子 あの日 わたしは……207
白河左江子 今 ふつふつと心にたぎるもの……208
杉本知政 義兄の夏……209
図子英雄 沈 黙……210
鈴木茂夫 現実と幻想……211
鈴木比佐雄 相生橋にもたれて……212
鈴木文子 へいわをつくろう……213
瀬野とし 宝蒸し……214
高梨早苗 あの日の空を誰が知っていたか……215
滝 和子 誕生日は……216
竹内美智代 花の顔……217
田中詮三 あの上空 ―目覚める悲歌― ……218
田中眞由美 ひそかに……219
千葉 龍 ヒロシマ・ナガサキの落穂……220
塚本月江 身代わり……221
津坂治男 人百倍……222
遠山信男 詩もまた行動します
        かがやく青い地球のために……223
徳沢愛子 あ・鳩が ―長崎報告―……224
鳥巣郁美 原子力の行方は……225
中 正敏 星ではない……226
       エピック・トピック「余聞」……226
中岡淳一 みどりが滴り……227
長津功三良 八月・そして白刃……228
         歩 く……229
長沼士朗 マグロ塚「第五福竜丸」を忘れない……230
中原澄子 一九四五年八月九日十一時二分・長崎……232
中原道夫 赤い背中 ―それは、魔性と化した長崎の―……234
苗村吉昭 渇 き……235
なんば・みちこ 戦 争……236
西村啓子 祭 典……237
原 圭治 スミソニアンの誤算……238
馬場晴世 八月の道……240
原田勇男 叔母への手紙……241
日高てる 水ヲクダサイ――原爆記念日朗読ノタメニ……242
日高のぼる セミ ――校歌断章……244
扶川 茂 八月のうた ―孫娘に―……246
福谷昭二 ただようもの……247
藤元温子 美しく 核実験に……248
       妹が哭く……249
本多照幸 ポロニウム……250
前原正治 夏の幻想的なメモから……252
増岡敏和 鳴 る……254
御庄博実 童女を抱くあなたと……255
水崎野里子 シンガポールの原爆資料館にて……256
宮崎 清 時間の関節……258
宮本智子 もしも あの……260
村永美和子 電 飾……261
森 哲弥 数値残照……262
森田海径子 壬生発 広島行き……263
柳生じゅん子 菜の花……264
安永圭子 忘れてはいけない……266
楊原泰子 母の悲しみ……267
山佐木 進 声……268
山下静男 戸板の人は……269
山田輝久子 お土産……270
山本 衞 食べなかったお弁当……272
山本聖子 それからの……273
山本倫子 何も知らなかった何も……274
山本十四尾 飛翔 出発……276
結城 文 原爆のことをはじめて聞いた日……277
吉川 仁 告 発……278
       報 告―広島にて……278
横田英子 夾竹桃の花よ……280
吉田博子 あかるいあかるい光の中で……281
吉田義昭 科学狂時代……282
若松丈太郎 死んでしまったおれに
   ジョー・オダネル撮影「焼き場にて、長崎」のために……284

  解説・編者あとがき

解説1 ヒロシマが告げるもの 石川逸子……288
解説2 原子爆弾でも負けんもの、川の水
     ―解説にかえて― 長谷川龍生……292
解説3 「ヒロシマの哲学」に呼応する詩人たち 鈴木比佐雄
     ……295
編者あとがき
  決して風化しない証を世界に 山本十四尾……299
  原爆詩集のことなど 長津功三良……300
   編註……301


世界中の平和を真に願う人たちへ
 
  原爆詩とは、1945年8月6日・9日の原爆投下で犠牲となった被爆者たちを決して忘れることなく、広島・長崎で核兵器の使用を最初で最後にしなければならないと誓い、決して人類に未来永劫にわたって核兵器が使用されてはならず、21世紀のできるだけ早めに核兵器のない地球という故郷を創り出そうとする「ヒロシマの哲学」に基づいて作られた詩群である。  そんな原爆詩を集めた詩選集を、人間の尊厳を破壊する戦争を憎み、核兵器など大量殺戮に反対する、国境を越えた地球人たちへ贈りたい。 この詩集は「生涯をかけて原爆詩を切り拓き、核兵器廃絶の願いを込めた優れた詩人・平和運動家たちの詩篇と、現役の詩人で広島・長崎について自己の重要なテーマとして書いている詩篇、また今回の呼び掛けに呼応し、新たに原爆に対峙し書き上げられた詩篇を集めたアンソロジーである」。(日本語版編註より)  この詩選集は核兵器など大量破壊兵器が無くなる日まで継続されるべき、詩的な平和運動の結晶体である。その平和運動の最前線に立つために、この詩篇を読んで「感動の伝染性」に突き動かされたら、世界中の志を同じくする詩人たちにも原爆詩を書いて欲しいと願っている。  近い将来それらの詩篇を入れたもっとグローバルな原爆詩集が編まれるだろう(採否は編者に一任してください)。そして地球人たちの一人ひとりの心の奥底に原爆詩が平和の礎となって根を下ろす日が来ることを確信している。その日こそ石に刻まれた被爆者たちの影が石から解放されて、私たちにその語り尽くせぬ無念や平和への思いを静かに語りかけてくれるだろう。  すべての人に平和な未来を祈念する。  

2007年11月 編者:長津功三良/鈴木比佐雄/山本十四尾

 


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